『幻想高速 〜HIGHWAY PHANTASTICA〜』




 ―山高帽をかぶった男は 綺麗な空へ昇ってゆくのさ
 水晶のしずくで濡れたフロントガラスは アスファルト色の空を映してたー


 演劇の舞台 影絵で描かれた都会 スーツの男は歌い オレンジ色のスカイ
 巻きスカートの高層ビル 風になびく夕暮れ、きみが恋しい

  窓の満月 鏡のなかの満月 ふたつのシンバル、打ち鳴らされ
 今夜最後に港に入るのは 冬を満載した貨物船

   HIGHWAY PHANTASTICA ネオン反射するマンホールは
   HIGHWAY PHANTASTICA カンツォーネ唄う夜の太陽


 ハンドル握る順番、ビリヤードで決めた 負けたのは、腰に見とれていたせいだ
 ミッドナイト・ハイウェー、黄色い照明灯は、上向きの二部音符 静かな無調音楽
 どこまでも続くノクターン

   HIGHWAY PHANTASTICA 黒のフィアット500(チンクチェント)は
   HIGHWAY PHANTASTICA 夜の水圧、逃げる深海魚
   HIGHWAY PHANTASTICA 黒のフィアット500(チンクチェント)は
   ふたりを乗せて、闇を切り裂いて、夜の水圧、逃げる深海魚。





 ―山高帽をかぶった男は 朝焼けを走るぼくらを空から見てた―
 愛し合ったあとの別れに 海は太陽を抱きしめる
 細い日差し 唇に触れる

 缶のカプチーノ飲んで 裸のエレキギター持って
 海岸線を歩こうか ここから響きだすfantasia
 遠く、遠く、遠く、クラクションの、トランペットに祝福されて―。
 Oh, year ―



  ▽click here if nothing sounds▽

●『幻想高速』は、谷川渥氏原作の舞踏「幻想の地誌学II
の舞台イメージから創ったもので、"山高帽をかぶった男"は
主演の和栗由紀夫氏なのです。
いつの日か生バンドでこの曲を録り、お世話になった両氏へ
お贈りしたいと思います。
                        小林文彩